岐阜家庭裁判所 事件番号不明 決定
本籍 岐阜県○○郡○○町○○○百○十○番地
住居 愛知県瀬戸市○○町十○番地P少年院内
職業 院生
氏名 杉本進(仮名)
年令 昭和十一年四月四日生
主文
この事件について審判を開始しない。
当裁判所が昭和三十一年六月二十五日なした審判開始の決定はこれを取消す。
理由
本件申請の要旨は、本人は昭和三十年八月八日当裁判所に於て窃盗、詐欺保護事件につき中等少年院に送致する旨の保護処分に付され同月十三日F少年院に収容され次で昭和三十一年一月二十五日P少年院に移送され既に昭和三十一年四月三日の経過と共に満二十歳に達し同年八月七日の経過と共に送致の時から一年間の収容を終るべきものであるが、その多弁にして放縦殊に規律的な持続性に乏しい性格、消極的な動作等に鑑み本人の社会生活適応能力の形成不充分と認められることを考慮して本人を少年院から退院させるには不適当であると認めるので本人に対し向後八月程度の収容を継続すべき旨の決定を申請するというにある。按ずるに本人杉本進、法務教官Oの各供述を綜合すれば申請人主張事実中本人の社会生活適応能力の形成が不充分であるとの点を除くその余の部分はこれを認め得るが、当裁判所の全調査結果によつても申請人主張事実中右除外部分は何ら認められない。却つて、本人は送致後約八月余にして処遇の最高段階である一級の上に進級しその在院成績は良好の経過を辿つたことを認め得べく、この事実から本人の犯罪傾向が除々に昇華されまたその社会生活適応能力が除々に形成されつつあることを推認することができる。なお、本件申請に於て申請人の意図するところは本人をして仮退院の形式をとつて出院させ本人の予後の万全を期することにあると窺知できるが、家庭の環境調整並に本人出院後の保護引受能力が共に良好であることは前示O法務教官の供述によるもこれを認めることができるから、本人をして仮退院の形式をとつて出院させねばならぬ必要性は左程大であると言うことができない。
然らば申請人が収容継続決定を求めるため主張した本人の社会生活適応能力の形成不充分との事情はこれを認めることができないから申請人の本件申請を許容するのは相当でないものと認める。
よつて本件について本人を審判に付するのが相当でないから、少年院法第十一条、少年審判規則第五十五条、少年法第十九条第一項、少年審判規則第二十四条の三を適用して主文の通り決定する。
(裁判長 川口公隆)